2011年も世界石油需要は大幅増投機資金も流入して原油高値も続く

摘要

2010年のWTI平均価格（スポット物）は79．40ドル／バーレルだったが，12月末にはNYMEX期近先物市況は91．38ドルまで上昇した。1月に入ってからは90ドル前後で小動きしていたが，1月27日には85．64ドルまで下落した。しかし，その後のエジプト政情不安から1月末には92．19ドルへと大幅反騰した。それがムバラク大統領の辞任という形でひとまずの決着を迎えるや再び下落して，2月11日現在では85．58ドルとなった。つまり，この1カ月半の期間は，エジプトの政治事情による乱高下に終始した原油市況展開だったということだ。しかし，工シプト政情不安がこのまますhなりと収束するとはとても思えない。なhといってもリーダーとビジョンなき「市民革命」であり，ムバラクなき後,どういう政治体制とどういう理念に基づいた国づくりをするのかが全くみえてこない。ネット時代の方向性なき「革命」，「政変」には，どこか大衆化状況を更に拡大したかのような危うさも漂う。どこかの国の綱領なき政党による政権掌握にもどこか似通っている。こうした状況下では，「民主化」はいいが，これがこのまま進むと「ムスリム同胞団」による権力掌握という事態も考えられないではない。そこはエジプト国民の選択に委ねるしかないし，そうすることがベストなのだが，米国もオバマ大統領も頭の痛いところだろう。親米·親イスラエルのムバラク大統領追放が「反米·反イスラ工ル」へと展開していく可能性はかなり強い。