新エネルギーの大規模導入へ舵を切る中国エネルギー政策

摘要

建国60周年を迎えた中国のエネルギー政策が再生可能エネルギーの大規模導入へと大きく舵を切ってきた。新中国成立は1949年。その後の中国経済は，ソ連の援助と，その打ち切りによる自力更生期や文化大革命の混乱期を経て，1978年からは改革開放路線に方針転換して世界経済に組み込まれ，今世紀入り後も大発展を続けている。　経済発展を支える中国のエネルギー産業も拡大に次ぐ拡大となった。中国の発電容量（能力）の変遷をみると，1949年建国当時はわずか173万kWにすぎず，改革開放路線に転換した1978年でさえ5，800万kWに止まっていた。その後は急速な経済発展に伴い急増を続け，1987年に1億kWを，2005年に5億kWを突破し，昨年末から今年前半にかけて8億kW突破となっている。しかし，その急激な発展を支えた主要発電設備が石炭火力であったため，環境汚染も急激で公害問題が深刻化。また，地球温暖化問題でも，世界一，二のCO2排出国になり，その責任を世界から問われている。内外の世論の高まりの中，賢明な中国指導部は，再生可能エネルギーの大規模導入が中国の健全な経済発展には不可欠と判断したようだ。2006年1月には中国再生可能エネルギー法が施行されてその普及の契機となったが，その目標を上回るペースとなる新エネルギー大規模導入の中国の新方針が，今年12月のコペンハーゲンCOP15までには発表されそうだ。