米国ヒーティングオイルは超低在庫！懸念される先行きの大逼迫

摘要

原油WTI市況がついに22日に終値で55.1アドル／バーレルと55ドル台を記録した。 10月第4週（18～22日）の高騰の要因は二つある。 一つはノルウェーの石油ストであり，もう一つは米国のヒーティングオイル低在庫である。特に後者の影響は大きかった。 20日，米国エネルギー情報局（EIA）は「週間石油在庫統計」を発表したが，それによると，第3週末15日現在の中間留分在庫が前年同期比9.6％減となった。 これが先行きの，つまりヒーティングオイル需要期の需給が急激にタイトになるとの石油市場に漠然とあった懸念を現実のものとしたのである。 今日の石油市場は，といってもこれは1986年に石油価格が大暴落して，OPECが価格決定権を喪失，これに代わって市場が決定権を確立してからのことだが，その最大の石油先物市場を有し，世界の石油の4分の1を消費する米国の石油市場主導に劇的に移ってしまった。それも米国のガソリンとヒーティングオイル市況主導型へと展開してしまった。 今回は，まさにその米国のヒーティングオイルの需給が逼迫するとの見通しが引き金になり，原油は55ドルとなった。 夏場前のガソリン低在庫が原油高値を引っ張ったのと同様である。 こうした米国の石油事情によるWTI高が世界の原油を高値へと誘導している。WTIとドバイ原油の価格格差は引き続き10数ドルと大きなかい離をみせているが，これも次第に縮小していかざるを得ないのが現在の石油市場なのである。以下，米国のヒーティングオイル低在庫の実態を少し検証してみよう。