排ガス規制と都心における粒子状物質の経年変化

摘要

大気エアロゾルの挙勤を把握するため、1994年から九段（東京都心の一般環境）において、PMの連続観測を開始した。 以下に、これまでに得られた結果を示す。 1. SPM濃度は年々減少傾向を示し、特にSPMの77％を占める2.1μm以下の微小粒子の減少が顕著である。 1996年以降の平均の微小粒子減少割合は、2.37μg/m~3/yrであった。 2. 微小粒子中のEC濃度も顕著に減少し、平均減少割合は、0.88μg/m~3/yrであった。 また、沿道でPM_（2.5)中のEC濃度の経年変化を測定した結果、1.5年間の平均で2.56μg/m~3/yrを得た。 この結果は、上記した一般環境の3倍の減少率を示し、一般環境と沿道共に工場など自動車以外の主要排出源が無いことから、自動車排気浄化技術の向上によりEC濃度を低下させたと考えられる。3. 粒子中のイオン濃度は、人為起源によるもの以外に、火山·海塩·黄砂など自然起源の影響を強く受けることが明らかとなった。 Cl~-やK~＋など廃棄物焼却由来と考えられるイオンは、ダイオキシン法以後急速に濃度低下を示し、特にCl~-の平均減少割合は、0.79μg/m~3/yrであった。 これ烏て年間で88％濃度が下がったことを意味する顕著な低下である。 自動車排気と関係の深いNO_3~-はわずかな濃度低下を示すものの、排ガス規制により低下したNO_X排出量が、NO_3~-濃度の低下に繋がったかば明確でない。 今後は、更なるNO_X排出量の削減と、NO_3~-を始めNO_2や二次粒子生成に関係するO_3、およびO_3生成に重要なVOC_Sの削減が必要である。