金の触媒作用の特徴と応用

摘要

金は水素や酸素の分子を解離吸着できないので、触媒としての活性に乏しい金属とされてきたが、1960年代にWoodとWiseは、解離した原子状水素が供給されれば金はシクロへキセンの水素化活性を示すことを報告した。1970年代に入ってBondらは、Al_2O_3やSiO_2に金を微粒子（数10nm？ ）として担持したものは、473K以下でブダジェンを1-ブテンへ選択的に水素化できることを示したが、活性がPt系触媒に劣っていた。 これは、金の融点が1337KでPtに比較して700Kも低く、微粒子が凝集しやすく粗大粒子になることが一因である。 1980年代に入ってHutchingsはアセチレンの塩化水素化には、金属のイオン化ポテンシャルが最も大きい金が触媒として最高であることを予測し、後に実験的にも確認した。 金が最高活性を示すとの予測は、1990年代に入ってH_2＋O_2からの直接H_2O_2生成についてもなされている。