機械安全分野における国際規格の動向と労働災害防止に関する考察

摘要

現在，日本ではISO12100やISO14121を始めとする機械安全規格にしたがって，機械の設計·製造を行うのが常識になりつつある．しかし，機械安全規格に関する知識と技術が急速に普及する一方で，労働災害の発生件数は下げ止まり，重大災害はむしろ増大の傾向にある．これは，機械の使用者（ユーザー）側の対策が必ずしも進捗していないためと考えられる．このため，厚生労働省では，平成18年度の労働安全衛生法の改正で，安全管理者を選任すべき業種の事業場に対して，リスクアセスメントに基づく災害防止対策の実施を努力義務として定めた．この改正で機械の使用者側の対策が促進されるならば，機械の設計·製造者側と使用者側の連携が強化され，労働災害の防止に寄与できると考えられる．