気相成長炭素繊維（VGCF）／PTFEコンポジットの機械的性質および耐摩耗性に及ぼすVGCF添加率の影響

摘要

4フッ化エチレン樹脂（Polytetrafluoroethylene，PTFE）は代表的な熱可塑性樹脂の一つである。耐摩耗性，耐薬品性，耐熱性，絶縁特性および耐候性などの多くの特性に優れ，ベアリングや薬品の運搬容器として使用されるなど，工業的な利用の多い樹脂である。一方，気相成長炭素繊維（Vapor-Grown Carbon Fiber，VGCF）は導電性，熱伝導性および強度などに優れた特性を有し，電極などの広い範囲で利用されている。しかしながら，PTFEとVGCFのコンポジットの摩擦特性に関する報告はあるが，機械的性質に関する報告は十分に行われていない。そこで本研究では，PTFEの機械的性質の向上およびVGCF の添加による耐摩耗性の向上のメカニズムの解明を目的として，カーボンナノ材料との混合分散により作製したVGCF／PTFEコンポジットの機械的性質および耐摩耗性に及ぼすカーボンナノ材料の添加率の影響を，2種類のVGCFを用いて実験的に調査した。また，VGCF／PTFEコンポジットの切欠きによる影響も併せて調査した。