蓄積映像配信における統合レート制御方式

摘要

品質非保証のIPネットワークを介した映像配信では，パケットの到着遅延による再生停止やパケットロスによる映像劣化などで，視聴品質が損なわれることがある．これに対し，従来より，映像ビットレートを制御して再生停止を回避する方式や，送信レートを制御してパケットロスによる映像劣化を抑制する方式が研究されてきた．しかしながら，いずれの従来技術も，映像ビットレートまたは送信レートのいずれか一方のみを操作可能な制御系をとっており，且つ最適性を考慮した制御則が適用されていないため，視聴品質を十分に向上させることができなかった．そこで，本稿では，映像ビットレートと送信レートを独立に操作可能な映像配信形態を採用し，双方を統合的に制御する統合レート制御方式を提案する．視聴品質を1つの評価関数で定式化し，現代制御理論の最適制御則を適用することで，本方式は評価関数を最小化できること，すなわち視聴品質を最も高くできることを示す．