推定到着時刻の不確定性情報を利用する順序付けの一方法

摘要

今後の航空交通管理では航空機の軌道情報が基礎になる．軌道の計画段階では，ある地点を通過する航空機の通過予定（推定到着）時刻を作成するに際し，通過航空機の順番を定める必要がある．従来はこれは出発予定時刻に基づいて先着順（FCFS）で作成されてきた．しかし，時間の起点となる出発時刻や途中の飛行時刻に多くの不確定要素が含まれ，この影響は出発空港や航空機毎に異なる．このため，場合によっては実際にある地点での順番が逆転することになり，航空管制の運用で，飛行途中で時間の調整が必要になる場合が起こりうる．こうした管制運用上の負荷を軽減するために，各航空機の軌道情報の不確定性を考慮した順序決定が望ましい．本報告では不確定性（推定誤差）の分布の情報が利用可能な場合の順序づけの方法を提案する．推定誤差分布にShiftedガンマ分布を用い順序逆転確率の計算方法を示す．ついで，推定誤差分布のモデル化のアルゴリズムを示し，シミュレーションによる検討例を示す．