クラスタシステムに対する多重障害からの回復技術～歪チェックポイントモデルの厳密解法

摘要

計算機クラスタには複数ノードが存在するため，各単独ノードに対する障害だけでなく複数ノードに対する多重障害を考慮しなければならない．本稿ではNabmura et al．（2004）によって提案された歪チェックポイント（Skewed Checkpoint）モデルの再定式化を行い，重み付き期待オーバーヘッドを最小にする最適チェックポイント間隔を導出するための厳密解法を提案する．全ての多重障害の発生可能性を視覚的に列挙し，クラスタシステムの取り得る確率的事象を記述するためのグラフモデルを新たに提案し，重み付き期待オーバーヘッドの正確な表現を得るための形式的方法論について述べる．最終的に数値例を通じて，最適な歪チェックポイント間隔のモデルパラメータに関する感度分析を行い，クラスタシステムに対する環境分散技術の効果について調べる．