燐光による筒内壁面およびガスの瞬時温度分布の可視化計測

摘要

固体壁の温度測定では，赤外線を用いる方法などさまざまな方法があるが，場の影響を受けにくい手法はあまり多くない．一方，無機蛍光体の燐光強度·スペクトルや減衰時定数（寿命）が温度に依存することが古くから知られている．燐光とは物質が熱や光による励起エネルギーを放出する際に，三重項状態を経て発せられる光であり，10~(-6)～10~2sの長い時間をかけて減衰する．蛍光体は耐熱性が高く，数百度以上の高温条件でも，その燐光の発光強度·寿命が温度依存性を示す．蛍光体の燐光を用いた温度測定法をPhosphor Thermometry［3］とし中，著者らはこれを応用して温度の定量可視化計測法を開発してきた［4，5］．本報では開発した可視化法と，これを用いてエンジン筒内の温度を測定した例を紹介する．