映画音楽の製作と録音

摘要

私の職業はレコーディングエンジニアである。 研究者でもなければ音楽家でもない，実に中途半端な存在なのである。 だが，音楽の製作過程において，我々レコーディングエンジニアの存在価値は決して低いものではなく，むしろその重要性がますます大きくなってきていることも事実なのである。 では，我々はなぜ必要なのか？ 多分そこが，私の書けるところなのであろうが，それが何なのか，実は自分自身よく分かっていない。 それならば，いっそ自分自身のことを書いていけば何かわかるのではないか？図々しくもそう考え，拙文を書き始めた次第である。本文では，我々レコーディングエンジニアの実際の作業を説明しながら，音楽と映像の相互の関係について考えてみようと思う。 久石譲が音楽を担当し，つい先日録音を終了した映画音楽の製作を中心に話を進めたい。