保育所等における音の問題

摘要

子どもにとっての音環境，周辺の住民にとっての音環境，いずれも大変重要な問題である。前者について，保育所は園児にとって第二の家であり，その住まいにおいて，発達段階にある子どもたちにとって良好な環境を保全することは，大人あるいは社会の責務である。また後者は騒音制御工学会が多大な努力を払ってきた課題そのものである。本解説では両者の重要性を認識した上で，前者の方に多くのスペースを割いた。少なくともわが国ではこれまで前者についての議論が少ないと思われるからである。保育空間に望まれる音環境に関して明らかな知見は少なく現時点で十分な検討は難しいが，今後の議論のために，力不足ながら問題提起も含めて論説してみたい。