冷凍空調が地球を救う（前）－機器の高效率化とCO{sub}2削減：コンプレッサの高效率化とCO{sub}2削減への貢献

摘要

冷凍空調機器を巡る社会状況は一層厳しくなってきており，その最大の課題は地球環境問題である．1987年のモントリオール議定書調印を受け，オゾン層破壊物質である塩素を含むCFC冷媒は1995年に全廃され，HCFC冷媒についても1996年より規制が開始され，2020年にはほぼゼロレベルまで使用が抑制されることになった．空調用の冷媒として広く用いられてきたHCFC22もHFC407CあるいはHFC410Aへと転換が進められてきた．しかし1997年に京都で開催された気候変動枠組み条約第3回締約国会議(COP3)で，HFC冷媒についても温室効果ガスの範疇に含まれることから，他のPFC，SF{sub}6とともに大気中への排出抑制が求められることとなった．さらに，既に使用された製品のCFC·HCFC·HFC冷媒について回収·処理の法制化がなされ，2001年4月から家電リサイクル法（特定家庭用機器再商品化法）が，2002年4月からはフロン回収破壊法（特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律）が施行され，冷媒フロンの回収·処理が義務付けられた．また，エネルギー資源の有効利用を目的とした改正省エネルギー法（エネルギー使用の合理化に関する法律の一部改正）が1999年4月から施行され，トップランナー方式の導入により一層の省エネルギー化が促進されることとなった．以上のように冷凍空調機器の環境負荷低減のために様々な法的規制が課せられ，本年2月に発効した京都議定書による温暖化ガス排出削減目標を達成するには，冷媒の大気放出抑制と機器の効率向上による省エネルギー化が急務となっている．さらに長期的には，代替フロンであるHFC系冷媒の使用規制も視野に入れた取り組みが必要とされ，オゾン層を破壊せず，また温暖化にも影響しないノンフロン（自然冷媒）を利用した冷凍空調機器の研究開発の流れが加速されてきている．その中でも冷凍空調機器のキーコンポーネントである圧縮機の技術開発は重要な課題となっている．本報告では，小 ぶ腥萘骏楗工卫鋬觥た照{用圧縮機を対象に，環境負荷低減に向けた高効率化に対する最近の研究開発動向の概要を紹介する．