凍結ゼラチンゲル内氷結晶の非破壊計測法に関する研究－誘電特性を利用した氷結晶構造の推定

摘要

食品の物性や品質を計測·評価する手法として，食品の光学的·力学的特性に基づいた非破壊計測法が実用展開されている．これらの非破壊計測法の中で，測定対象の化学組成のみならず幾何的構造に敏感な誘電特性計測が注目されている．凍結食品に関する定量的な特性計測は，凍結試料内の氷結晶の計測，また解凍後のレオロジー·成分変化に関して報告されているものの，凍結過程における物性および品質の非破壊計測に関する報告は少ない．氷結晶の定量的な計測方法は，多くの場合，試料の破壊を伴うため実用展開は困難である．他方，氷結晶の非破壊計測法として共焦点レーザー顕微鏡による観察例があるものの，装置の性質上，計測範囲は数十～数百マイクロ程度であり，十分に内部まで測定できない欠点がある．そのため，十数センチの凍結食品を対象として，製造工程における各種品質の非破壊かつリアルタイムで，簡便にモニタリング可能な方法の出現が望まれてきた．本研究の目的は，種々の冷却速度で凍結したゼラチンゲルの誘電スペクトルを計測し，マイクロスライサ画像処理システムで得られる定量的な氷結晶特徴量を比較することにより，誘電スペクトルと氷結晶特徴量の関係を明らかにすることにある．