ヒートポンプ技術の進展と応用例－産業用を中心とした展開：産業用·業務用への応用例－低湿度環境設備へのヒートポンプ適用検討

摘要

半導体デバイスやフラットパネルディスプレイなどの製造分野では，薄膜化，加工寸法微細化，新方式の登場などに伴い，従来は汚染と考えられていなかった製造環境中の水分も汚染物質と捉えられるようになってきている．また，携帯機器の普及や環境に配慮したハイブリッド車や電気自動車の開発に伴い，Liイオン電池やキャパシタの需要が高まっており，これらの製造工程でも環境中の微量水分が性能に影響を及ぼすことから，低湿度環境が必要となっている．これらで求められる環境は，空気中に含まれる水分を一般クリーンルーム（乾球温度23°C，相対湿度45％）の千分の1から百分の1程度まで低減した空気を供給することで実現され，低湿度空気製造には，安価に大量の除湿空気が製造可能なことからシリカゲルなどの固体吸着剤を用いて水分を吸着除去する乾式除湿機が使われる．乾式除湿機では，吸着剤の再生に熱源が必要なことに加え，低湿度環境維持のため連続運転する必要があるため，一般に消費エネルギーが多大であり地球環境保護の点からもエネルギー削減が強く求められていた．本稿では低湿度環境設備の省エネルギー化検討として行った，空気の加熱·冷却へのヒートポンプの適用に加えて，乾式除湿機の基礎特性を踏まえた排熱有効利用方法について紹介する．