食品凍結乾燥の基礎知識と実用技術への展開(2)：凍結乾燥プロセスにおけるセンシングシステム

摘要

一般に凍結乾燥食品を新規に開発，生産する場合には，まず実験用凍結乾燥装置を用いて，種々の操作条件下で乾燥実験を繰り返し，対象とする食品材料の乾燥特性に関するデータを蓄積し，解析する必要がある．これらのデータは品質を劣化させない範囲で最大の乾燥速度を得るための加熱条件や，実用プラントへのスケールアップを検討する際にもっとも重要なデータとなる．さらに，凍結乾燥プロセスにおける熱および物質移動現象を数理モデルで表現し，このモデルに基づいてシミュレーションする際の有用な基礎データともなる．他方，近年，医薬品を始めとする実用凍結乾燥プラントではGMP (Good Manufacturing Practice)の実施を目的とする製造管理システムの運用上，計測精度および信頼性の高いセンサ類が求められ，さらに各センサ自体も規定期間内に較正（キャリブレーション）を受ける必要がある．このような背景にあって，凍結乾燥装置内の各機器の操作パラメータと被乾燥食材の凍結乾燥特性を計測するためのセンサ類およびこれを統合した計測システムに関して，新技術の開発，適用範囲や精度の改善を要望する声は一層高まってきている．