空調設備における現状と展望：クリーンルーム空調におけるメンテナンスの現状と展望

摘要

半導体製造業界，液晶·PDPなどのディスプレー製造業界を中心として，加工寸法の微細化，薄型化および高精度化の要求が一層高まっている．また，それらを構成する部材，部品への高精密化の要求も同様である．これら製品の製造に当たっては，製造環境を形成する空気中の微細な浮遊塵埃のみならず，微量な有害ガスなどの汚染物質，窒素·酸素·水素などの使用ガス，洗浄水や薬品中の微量な汚染物質が，製品の品質，性能，信頼性や歩留まりに大きな影響を与える．そのために，汚染物質を除去するコンタミネーションコントロールが重要な問題となる．特に清浄な製造環境を作り，これを維持するクリーンルームは必要欠くべからざるものであり，各種産業に広く設置·使用されている．一方，最近のライフサイエンスを対象とした遺伝子治療や再生医療の進歩に伴い，空気中の浮遊細菌を除去した無菌環境を必要とするバイオクリーンルームの分野は，製薬，医療，食品加工のみならず研究開発用途にも必要性が拡大している．本稿では，クリーンルームの清浄度を適正に維持·管理していく上での留意点を中心に解説する．