建設機械の変遷－基礎工事用機械の近代化

摘要

日本の地層は複雑で山岳部や丘陵部は硬い地盤が入り組み、河川流域の沖積低地は軟弱地盤がほとhどであり、どの地盤においても『基礎』が不可欠となる。 昭和30年代（1950年後半）の土木／建築構造物を支える基礎の施工は、ドロップハンマかディーゼルハンマで既成杭を打撃して行われていたが、その後の30～40年の間に、施工法も機械も大きく様変わりした。既製杭の施工は埋設工法が主流となり、既製杭以外の基礎施工法として、場所打ち杭·地中連続壁·地盤改良など各種工法が開発された。 構造物の巨大化と、工期の短縮や安全性が求められるようになり、杭打機はその用途に応じて、小型から大型まで小刻みにシリーズが開発された。 基礎工事現場は、3K職場として若年労働者から敬遠され熟練した職人が不足したため、職人の“勘”に頼る施工から、コンピュータ制御を取り入れた機械化が急速に進歩した。 また、工事の際、近隣住民と問題となった騒音／振動等の公害問題は対策が進み、環境に優しく杭品質の信頼できる機械が普及した。 このような経緯から、日本の“基礎工事用機械”は世界中で最も進化し、社会環境と調和しながら都市の再開発や、基礎の近代化に欠かせない役割を担うまでとなった。