環境触媒と燃焼工学III：触媒燃焼を利用した燃焼機器の開発動向

摘要

人間が火を道具として使い始めたのは有史以前で長い歴史があるが，それと比較すると触媒燃焼技術の歴史は浅く，19世紀に入ってからである．しかし，触媒技術そのものの歴史が浅く，1817年にイギリスのDavyが発見した白金線による可燃ガスの無炎燃焼が，固体表面による化学反応の促進作用，即ち不均一触媒反応の最初の発見だと言われている．この反応は触媒燃焼そのものであり，触媒燃焼が今日の様々な触媒技術の出発点になったと言える．触媒燃焼を酸化反応としてとらえると，触媒燃焼は，一酸化炭素，未燃炭化水素，ディーゼル黒煙(PM)，揮発性有機化合物(VOC)，悪臭などに代表される有害成分の酸化による環境浄化技術，およびエチレン，プロピレンの酸化による酸化エチレン，アクロレイン，アクリロニトリルの合成などに代表される，選択部分酸化による各種化合物の合成など，化成品の製造技術として利用されてきた．