アセアン経済と自動車産業：アセアン各国経済と自動車産業市場の発展

摘要

今、東アジアの自動車産業は生産拠点、販売市場、さらには輸出拠点としても急速な成長過程にある。 2005年にタイの自動車生産が100万台を突破して大きく注目されたが、1年後の06年には中国の国内販売台数（721.6万台）が日本を抜いて世界第2位となった。 06年に日本自動車メーカーによるアジア（中国、東南アジア、台湾、インド、パキスタン）生産が初めて北米（北米とカナダ）生産を上回った。 アセアンでは05年にタイの完成車輸出は42万台と急増し、06年にはタイの自動車関連輸出が1兆円を超える見通しとなった。 このような急成長する東アジアの自動車産業の中でアセアンの自動車産業は、中国やインドと比較して特徴的な発展を遂げてきている。 その特徴のひとつは、アセアンでは日本の自動車メーカーとの関係が中国やインドと比べて一段と深く、かつ長いという点である。 また2つは、アセアン自動車産業の輸出比率が急速に高まっているという点である。 以下、小論ではアセアン自動車産業の発展を、アジア通貨危機以降のアセアン経済の回復と発展というコンテクストのなかで、日本自動車メーカーの動向や戦略と関わらせて見ていきたい。