大転換期に突入した自動車業界

摘要

2008年9月のリーマンショックから始まった金融危機により，世界の自動車需要が急減，また，為替レートも大幅な円高になったため，日本の自動車メーカーや自動車部品メーカーの業績は下期から急速に悪化し，2009年3月期は大赤字になった。しかしながら，業績悪化に歯止めをかけるために各社が行った人件費や設備投資などを中心とした固定費削減，部品設計の変更や生産革新による原価低減，緊急コスト削減などが計画を上回ったため，少ない売上高でも利益が確保で掌るメドがついてきた。これに，鉄鋼などの原材料安，米国のスクラップ·インもンティブ等による販売台数の計画上乗せ効果が加わったため，2009年9月上期決算は円高を克服して営業黒字になる企業がでてきた。先進国の需要も昨年の10月から続いた大幅減から，1年経ったことでようやく逃れることができる状態となり，中国やインドなど新興国の自動車需要も拡大が続いているため，今下期からの収益は予想以上の速度で回復してきている。