食品用大型フリーザー庫内エアフローの熱流体解析による改善·設計へのフィードバック

摘要

エアブラスト方式を用いて食品の急速凍結を行う際，冷却対象物に効率よく当てることができるようにエアフローの挙動を制御することが重要である．しかし，スパイラルフリーザーをはじめとする食品用大型フリーザーは庫内が広く，かつ構成機器等が複雑に配置されるためエアフローの把握と制御が極めて困難である．また，産業用フリーザーでは需要に応じて多種多様なサイズやスペックに対応しなければならず，費用や検証時間の面から実証試験を行うことは困難である．一方で，これらを包括的に検証した学術的知見は非常に少なく，フリーザー庫内の構造が食品凍結に対して理想的なものとならない問題点があった．そこで本報告では，これらの問題の解決策の一つとして数値流体解析(CFD)を用いたスパイラルフリーザーの流体解析モデル(CFD モデル)を作成して風の流れを可視化した．また，作成したモデルと同スペックの実証試験機を製作し，モデルによる解析結果と実測データを比較検証することで，CFD をインタラクティブに用いることの有効性を確認した．さらに，CFD モデルと実証試験機の内部構造を変更した場合の両者のデータを比較することで，作成したモデルの汎用性と信頼性を検証し，食品凍結技術開発に対する新たなアプローチ方法を提案した．