最近の表面改質技術の効果的活用法～トライボコーティングを中心に：（事例4）自動車用エンジンベアリングの鉛フリーのための表面改質

摘要

自動車用エンジンベアリングは，技術の進歩とともに高性能，高機能化が追求され，その反面近年の環境問題などより，地球に人に優しい物づくりの追求も不可欠となってきている．軸受への要求特性が以前よりも厳しいものになってきている現状を図1に示す．それは，軸受が自動車エンジンの急速な変革を受け止める1つの機能部品であることを示しており，環境問題としての鉛フリー化についても，鉛のもつ機能を鉛なしで再構築する形で，多角的に進められねばならないことを示唆している．エンジン軸受の現状は，鉛を多量に含む銅系とともに，従来より鉛をほとhど含まないアルミ系の材料も多用されて来ており，そうした現状に立ってさまざまなトライボロジー的手段を駆使し着実に市場の要求に応えようとしている．すなわち，鉛フリー技術の確立は鉛そのものがもつ機能を明らかにする作業でもあり，軸受をトライボロジーに根ざした機能部品として見直す良い機会を与えている．