アダプティブ法による高精度計算力学(2)：アダプティブr法による解析精度向上

摘要

第2章において説明したように，有限要素解析，境界要素解析に際して心得ておくべき一般的な指針として，要素寸法に関しては，「要素寸法は物理量の変化の大きいところでは小さくすること，逆に，物理量の一様なところでは丸め誤差の見地から要素寸法は大きい方が望ましい」という指針が与えられている．この指針に従って，アダプティブr法による有限要素解析，境界要素解析においては，何らかの指標により節点物理量の持つ解析誤差を評価し，この評価結果に基づいて解析誤差が小さくなるように，適応的に節点位置を移動させて有限要素解析，境界要素解析を行い，解析結果の精度向上を図ろうとする．アダプティブr法のみによっては解析結果の精度向上に与える効果は小さいので，アダプティブh法あるいはアダプティブp法と併用される場合が多い．次に，このアダプティブr法による有限要素解析結果，境界要素解析結果の精度向上の事例を紹介する．