回転機械の振動（20）－第10章 すきまや摩擦に起因する回転機械の振動 その2

摘要

（1）VTR用ガイドローラは，高速回転域で鳴きを発生するが，これは乾性摩擦によるローラの激しい前向きふれまわりの結果である．このときの前向きふれまわりの角速度ψは，回転の角速度をΦとしてψ（R／c_r）Φで表される．ローラと軸の半径すきまc_rが小さいと，ψまかなり大きな値になる．（2）ばねとダンパで支持した回転中のアウターロータに初速を与えて固定軸に衝突させ，その後のロータのふれまわり挙動を数値計算したところ，ロータの定常的な前向きふれまわり中では，ロータと軸とのすべり速度はほぼゼロで，ロータ内周は軸外周をすべらずに転がる．（3）この種の前向きふれまわりは，ロータ初速（外乱）V_0，摩擦係数μ，ロータの初期回転速度，接触ばね定数K_cが大きいほど，また，ロータの減衰比か，ロータ·軸間の接触減衰比d_cが小さいほど発生しやすい．