パリ協定以降の世界と日本のエネルギー動向(14): 原子力発電の課題と将来展望 その3

摘要

原子力発電（軽水炉）では天然ウラン（ウラン238の中に同位体ウラン235が約0.7%含まれている）を濃縮して，核分裂しやすいウラン235を3～5%に高めて燃料としている．核分裂反応はウラン235に中性子が衝突することで生じ，核分裂の過程で発生した中性子が次々とウラン235に衝突することで連鎖反応的に核分裂が進み，熱エネルギーが生み出される．また，ウラン238が中性子を吸収することで核分裂しやすいプルトニウム239に核変換し，さらに中性子を吸収すると核分裂して熱エネルギーが生み出される．その結果，使用済燃料にはウラン235が1%，プルトニウム239が1%，核分裂生成物など高レべル放射性廃棄物が3～5%が含まれ，残りはウラン238となる．