本稿では,高次モーメント分析によってMUltiple SIgnal Classification (MUSIC)を劣決定条件の下での方向推定へと拡張した写像MUSICを提案する.写像MUSICは非線形関数により観測信号を高次元空間へと写像し,写像空間において共分散行列の分析を行う.このとき,写像の共分散行列は信号の高次クロスモーメント行列に相当する.高次元写像によって雑音部分空間の次元数が増大することから,方向推定の分解能が向上し,劣決定条件の下での方向推定が可能となる.信号の高次キュムラント分析に基づいた2q-MUSICとの理論·実験の両面からの比較によって写像MUSICの性質について議論し,現実的な条件の下ではより少ない計算量で同等の推定精度が得られることを示す.
展开▼