高調波の影響とその測定方法：第1回 高調波の障害と対策

摘要

高調波の問題は昭和50年ごろから問題となっていました．当時の障害の多くは，特定の大型の産業機器から発生する高調波電流によるものでした．平成2年には，一般に高調波が電力の公害として認知された名古屋市科学館の調相装置の障害が発生しました．この高調波障害は，不特定多数の高調波電流が電力系統に集まって起きたものでした．このころより，特定の大型機器から発生する大量の高調波電流が当該電力系統に流れ込み，その系統に連系している需要家に障害が発生するというものから，一般の電気製品（たとえばテレビやエアコンといったもの）などからの少量であるが多量の機器から電力系統に高調波電流が流れ込み，別の場所で障害が発生するといった状況に変わってきました．このことは高調波電流の発生源が不特定多数であり特定できない，すなわち高調波電流が発生してしまったあとでは対応が困難であるということを意味しています．平成6年に，高調波ガイドラインが策定されてから，機器からの高調波電流の発生を抑制する努力がなされてきました．一概にはいえませhが，このような高調波電流の発生を抑制する努力は，電力系統の高調波障害抑制の一助となっていると思われます．これから，高調波に対する障害などの影響が変わってきていることをふまえて，高調波の発生とその対策について述べてゆきたいと思います．