マイクロ·ナノスケールにおける熱流動可視化技術の発展－表面近傍計測ならびに非侵襲化への取り組み

摘要

MicroTAS（micro-total analysis systems）やLOC （lab-on-a-chip）などの超小型化学分析デバイスの開発が進むにつれ，それを支える基盤技術として，マイクロスケールの熱流動現象を正確に把握するための計測技術が急速に進展してきた．微細加工技術の更なる発展により，現在ではナノスケール流路の精密な加工も可能となり，ナノスケールの閉空間における輸送現象を取り扱うnanonuidics の研究が盛hとなっている［1，2］．そのような中で，固体表面近傍（数10～数100nm）の領域における輸送現象を実験的に捉える超解像計測技術の重要性が増すとともに，界面特有の現象をプローブに頼らずに可視化する非侵襲な計測技術への需要も高まっている．本稿では，蛍光観察に基づく代表的なマイクロスケール熱流動計測法を紹介した後，ラマン散乱光を利用した非侵襲計測や，エバネッセント波による表面近傍ナノスケール計測に関する著者らの取り組みについて述べる．