脳動脈瘤コィル塞栓術後に造影剤による意識障害および 左片麻痺が遷延した大型右中大脳動脈瘤の1例

摘要

近年,脳動脈瘤に対する脳血管内治療が増加傾 向にあり,脳動脈瘤に対する治療の第一選択と してコィル塞栓術を選ぶ施設もみられるようにな つた.脳動脈瘤コィル塞栓術の合併症には術中 の動脈瘤破裂や脳梗塞の出現があるが,造影剤 の毒性によると思われる神経学的異常の出現の報 告も散見される.しかし多くの場合,後方 循環系の動脈瘤に対するコイル塞栓術を行った際に認めており,前方循環系の脳動脈瘤に対するコ ィル塞栓術を行つた際に生じる造影剤によると思 われる神経学的異常の出現は極めて少数である.今回われわれは,前方循環系の脳動脈瘤 コィル塞栓術後に遷延する意識障害および左片麻 痺を生じた症例を経験したので,文献的考察を加 えて報告する.