ロシアのアルミ産業の現状と今後の動向

摘要

1986年わが国のアルミ産業は川下に特化，川上のアルミ地金は海外に依存することを決定，世界一を誇ったアルミ製錬技術と164万トンのアルミ製錬能力に封印をした。 コマルコジャパン創設者清水啓氏は著書「アルミニウム外史」にて，鉄鋼は鉄鉱石，石炭の原料一貫生産により大いに利益を得ることが出来るのに比べ，アルミニウムは「電気の缶詰め」と呼ばれ，安い電力なくしては生産メリットがないことを述べられていると共に，アルキヤンのデイビス社長が，1951年に米国議会の査問（Congressional Inquiry）に出席した際の発言を同書の中で紹介されている。 『アルミニウムは，容器に封入された電力であり，アルミ産業の公理（Axiomatic）として，他のいかなる産業より高い電力費を使用してはならない』昨今，電力需要は世界的に増加の一途を辿っており，多量の電力を使用するアルミ製錬工場には冷たい眼差しが向けられている。これから既存の製錬工場の存続可否が多いに話題となると共に，電気代の高い工場は閉鎖せざるを得ず，電力の安い工場のみ生き残れるのではないだろうか。この公理をもう一度見直すと，中国での製錬は彼らのコスト／採算意識が確立した時に，製錬事業継続の可否が見直され，自国生産能力の限界がはっきりするのではないだろうか。 そこに辿り着くまで，輸出あり，輸入ありの何でもありが続くと予想している。