ジンクリッチペイントの現状と将来

摘要

亜鉛による鉄の防食効果が確認されてから約100年になるが,樹脂バインダーと併用,すなわちジンクリッチペイントとして品質および現場での塗装作業性が確立され,現在の造船や橋梁用などの重防食塗装系において，最も重要で不可欠な防錆塗料として本格的に実用化されたのは戦後である。当初,重防食塗装系のプライマーとしてジンクリッチペイントに求められた品質は,高防食性および優れた塗装作業性などであり,現在,一般的に使用されているジンクリッチペイントは品質面では,市場ニーズを充分満たしている。しかし,最近の市場ニーズは,品質だけではなく,"地球と人に優しく"すなわち,地球環境や人への安全性にも配慮した環境配慮型の塗料である。 特に,塗料業界が最重要課題として取り組hでいるVOC規制に対応できる塗料の開発は急務である。具体的なVOC規制対応として,有機溶剤をほとhど含まない水性ジンクリッチペイントの開発に対する期待は，非常に大きいと考える。