浸漬ノズルの抜熱防止

摘要

断熱スリットはノズルからの抜熱抑制に効果的であるが，オープン鋳造に用いられるセミノズルには適用が難しい。 また，浸漬ノズルに適用する場合にも，ノズルの肉厚が薄いと強度上の問題が懸念される。これに対し，今回開発した低熱伝導AG材はノンカーボン内管材ヤフアイバーレス断熱被覆材と共に様々な用途に適用可能である。 また，これらの手法を組み合わせることで，ノズルを介してのモールドからの抜熱を最小限に抑えることができる。モールド内のメニスカス温度はノズルの材質だけでなく，ノズル形状に左右される吐出流の流動パターンや，モールドパウダーによる保温効果に大きく依存している（図12）。 しかし，ブルームやビレットなどの小断面モールドや，スラブのモールド長辺とノズルの間などではノズルからの抜熱による影響が無視できないと考える。 更に，ノズルからの抜熱防止は，ノズルの材質の熱伝導率だけでなく，低溶損性パウダーとの組み合わせでノズルを肉薄化することによっても可能である。 逆にノズルからの抜熱防止を徹底することで，モールドパウダーの溶融性状を改善することも期待される。 従って，安定操業の実現と鋳片品質の向上のためには，ノズルからモールドパウダーを含めた機能材全体の視点で取り組むことが重要である。