第5回ハットンシンポジウム：（1）講演内容

摘要

第5回ハットンシンポジウムは2003年9月，愛知県豊橋市の愛知大学で開催された。 本稿では，本シンポジウムでのセッションごとの発表と議論の概要を報告する。今回の日本での大会は，ハットンシンポジウムの開催地として初めての条件が2つあった。 1つは現世の島弧すなわち沈み込み型プレート境界という立地条件，もう1つは白亜紀～新生代という若い時代の花崗岩地帯であることである。これまでのハットン大会がすべて古生代の変動帯に伴う花崗岩地帯で開かれてきたので，若い変動帯の花崗岩を舞台に，ということが日本が開催地に選ばれた理由の一つであった。 それらのことを念頭において，今大会のセッション構成を決めた。 具体的には，A）ミグマタイトと地殻溶融 B）花崗岩マグマだまりプロセス C）花崗岩マグマの形成と大陸地殻の成長 D）花崗岩と鉱化作用 と大括りしたうち，特に C）の中で島弧における初生地殻の形成と地殻内リサイクル型マグマティズムを対峙させて取り上げ，またアジアの花崗岩についての最新の研究を紹介するセッションを設けた。 その結果，C）は4セッション，A），B），D）はそれぞれ2セッション構成となり，シンポジウム全体としては10セッションとなった。