地熱流体化学データの簡易データベース化と統合解析--GISを利用した地熱資源評価研究の一環として「豊肥」地域を例に

摘要

地熱流体（温泉水·噴気，地熱井からの熱水·蒸気など）は，その供給源である地下の熱水系の起源や環境などを反映して，通常の地表水·地下水·海水·大気などとは異なる地球化学（同位体化学を含む）的な特異性·多様性を示す。 このような地熱流体の化学分析データは，地熱資源の探査·評価，開発利用，維持管理あるいは周辺地城の環境保全などの目的で非常に重要である（例えば，D'Amore ed.，1992；茂野，1993，1997；野田編，2003）。 地熱資源に係わる流体化学的な手法の概要を整理して第1表に示す。 地熱流体の地球化学的データは，多相·多成分·空間3次元·時間1次元のデータである。 したがって，各種成分間-試料間の関係のみならず，時空間分布関係の解析·表示には様々な可能性がある。 さらに，地質学·地球化学·地球物理学·資源工学的な多様な時空間データとの関係の解析·表示には，無限とも言える可能性がある。