近畿周辺地域の石材（切石）-小豆島石-

摘要

瀬戸内海国立公園内に位置する香川県小豆郡の小豆島は総面積が約152km~2，島内に土庄町·池田町·内海町の3町を有し，オリーブの栽培や壷井栄の小説「二十四の瞳」、日本三大渓谷美に数えられる寒霞渓などで名高い瀬戸内屈指の観光の島（写真1）である（第1図）．一方，小豆島は往時から島内各地で大規模な採石が稼行された採石島でもある．安土桃山時代に豊臣秀吉が築城した大坂城（現：大阪城，所在地二大阪市中央区）は，豪壮·華麗で近世の傑出した名城とされるが，その礎石や石垣には小豆島などから産出し搬送された花崗岩類が大量に使用された．この史実は甚だ広く知られており，島内には往時の石切場跡が多数現存する．