危険化学物質による環境汚染，その3 ミクロネシア連邦ポンペイ島における船底塗料による海洋汚染の歴史的変遷

摘要

サンゴ礁が分布する熱帯 劅釒·窝匕逗Ｓ颏扦希碎g活動に伴うサンゴ礁環境の悪化が深刻な問題となっている。 サンゴは，体内に共生する共生藻の光合成産物をエネルギー源として，アラレ石からなる炭酸カルシウムの骨格を形成する。 このとき，周囲の水温や塩分などの環境因子や海水の各種化学成分などがこの炭酸カルシウムの骨格に記録される。 これまで多くの研究により，重金属をはじめサンゴ骨格中の微量元素は，サンゴの生息環境の指標となることが示唆されており（Smith et aI.，1979；Dodge and Gilbert，1984など），サンゴ礁における海洋汚染の歴史の解明にも適用できると考えられる（Inoue et al．，2004）。 サンゴ礁の環境悪化過程の復元は，現在注目されているサンゴ礁の環境管理にとっても有用な基礎情報を提供しうるものと考えられる。サンゴ年輪を用いての古海洋環境復元の研究は, 川幡·鈴木（1999）, 井上（2002）をどによって詳しく紹介されている。