産総研の「地質の調査」各分野における課題と長期方針--独立行政法人化と地質調査所

摘要

地質調査所百年史（1982）を繙いてみると，明治15年の発足以来，その所属は農商務省 坦な°k山局·金属局，軍需省，通商産業省工業技術庁工業技術院と移り替わり，いま経済産業省産業技術総合研究所に属し，4月からは独立行政法人産業技術総合研究所の一部になることとなった。 この間，地質調査局に昇格したり，廃されて鉱山局地質課に降格されたり，地下資源調査所への改称などもあり，また，関東大震災や第二次大戦による庁舎の焼失，分離統合，さらには筑波への移転といった変遷を重ねてきた。 度重なる行財政整理,定員削減や機構改革，ついには図幅調査の中断といった事態も経験されてきた。 行政職と研究職への分離（昭和32年）を経て，独立行政法人下でまた両者は処遇の面で統合されるという。 俯瞰的に見れば「諸行無常」かつ「天の下新しきもの無し」の感も漂うが，座して待つのみではバラ色どころが灰色の未来さえあり得ない。 先人達の努力と熱意によって継承されてきた「地質の調査」の重要性は21世紀においてもいささかも減ずることはないが，新たな組織でいかなる展開を図るかは私達一人一人に課せられた使命である。 時代はまさに「競争」と「スピード」を要求し，個人レベルから様々な組織レベルまで，その存在意義が常に問われ続ける。 国民社会·行政のニーズに現実を踏まえて機動的に対応しつつも，時流におもねらない長期的視野に立った地質学。 地球科学分野の振興に，積極的に貢献しうる方策を各自が練る時機である。 できない理由をあげつらうのではなく，可能性を開くことに知恵を絞るべき時である。 行革は今その第1ラウンドを終えようとしているにすぎない。 今後如何なる波が押し寄せようとも，周章狼狽することなく立ち向かえるよう新たな準備を2001年から進めようではありませhか。