鳥取県西部地震の震源モデルと強震動

摘要

地震発生に伴う被害の大部分は、，地震による大きな揺れ（強震動）に端を発します．したがつて，ある地震が起きたときに，ある場所での揺れの強さを予測することができるならば，地震被害の軽減のための施策を効率的におこなうために大いに役立つと考えられます．この認識に立って，兵庫県南部地震以後は特に，回や地方自治体も，莫剣に強震動の予測の問題に取り組hでいます．しかし，揺れの強さを予測することは簡単ではありませh。 一般に地盤の良し悪しが大きく効くと言われています．埋立地のような地盤が軟弱なところでは揺れが大きくなり，大きな被害が出やすい，という考え方です．これは決して間違いではありませhが，実際にはそうはならないこともあります．例えば，兵庫県南部地震では，いわゆる軟弱な地盤では，液状化のために，揺れがむしろ大きくなりにくかったと考えられています．そして，この地震で被害がもっとも大きかったところの1つは，震災の帯と名付けられた神戸市内の地域で，必ずしも地盤が軟弱なところと一致しているわけではありませh．多くの研究がなされた結果，この帯ができた原因は2つ考えられています．1つは，揺れを引き起こす元凶である震源断層でのすべり破壊が神戸市の方へと進hできたこと，もう1つは神戸市の下の地殻構造が独特だったことです（頗締，2000）．以上をまとめると，ある地域での揺れの強さを考えるためには，（1）震源断層での破壊の様子，（2）地下の構造，（3）地表近くの地盤，という3つそれぞれからの影響を知らないといけないことになります．