飛鳥の石造物

摘要

日本史における「飛鳥時代」というのは，推古天皇が即位した592年から，694年の持統天皇による藤原京遷都までの約100年間を指します．これに対して，「飛鳥地方」と称する場合の範囲は必ずしも歴史時代にはとらわれず，飛鳥坐（あすかにいます）神社や飛鳥寺を中心とした飛鳥川沿いの小盆地（狭義の飛鳥地域）に加えて，北方にある耳成山·畝傍山·香具山の大和三山に囲まれた地域（藤原京）を含めた広い範囲を採るのが一般的であるようです．現在の行政区画では，奈良県橿原市南部から高市郡明日香村·高取町に亘ります．「飛鳥」の字源は「あすか」に掛かる枕詞「飛ぶ鳥の」に由来するといいます．また，明日香·阿須可·安須可などとも表記されます．