歯科インプラント

摘要

現代の欠損歯列に対する補綴治療の主な目的は，「歯および歯周組織の欠損から生じる咀嚼·発語機能，審美性の低下を回復し，患者の生活の質(QOL)の向上をはかること」である．そのための治療法として，図1に示すものが選択肢として挙げられる．当然ながら，これらの中から治療成績，科学的根拠，コストパフォーマンスなどの様々な事案を考慮し，インフォームド·コンセントにより治療方法が決定されるわけであるが，現在インプラントによる治療というものが多大な注目を浴びている．その理由として，①咀嚼などに適した力学的機能性，②天然歯と遜色のない審美性，③口腔内環境との高い親和性などが挙げられる．このように人工材料で咀嚼機能や審美性を代替するという発想は，古代から存在していた．しかしながら，体内の拒絶反応などにより，代替人工材料はことごとく排除され，長期的に機能することはなかったようである．