ミスアライメントを有するピンオンディスク型摩擦系で生じる跳躍振動のシミュレーション

摘要

ピンオンディスク型摩擦試験機で，ピン（ボール）の主軸がディスク面に垂直に接触せず，わずか0.1°程度傾いただけでもボールが跳躍することをシミュレーションによって明らかにした．さらにこのとき生じる跳躍振動によって，急激に増加する窒化ケイ素のボールとディスクの摩耗量は，ボールの跳躍振動中に作用する引張応力の総和と関係することを実験的に証明した．しかし解明されたピンの主軸の傾きは，ディスクの回転方向とピンの主軸のなす角度が直角よりもわずかに小さい場合だけで，それ以外の角度については解析できていない．また最大静止摩擦係数や動摩擦係数－すべり速度の関係も一定としていたので，摩擦特性が跳躍振動に与える影響についても充分に検討されていなかった．そこで本研究ではまずピンの主軸とディスクの傾き方向によって跳躍振動の発生メカニズムが異なることを明らかにし，さらに摩擦の速度特性の違いが跳躍振動に与える影響を数値シミュレーションによって検討した．