エネルギー最小原理を用いた準静的に変化する気液界面の変形量の予測

摘要

乾いた固体が液体で濡らされたり，あるいは濡れた固体が乾く現象は，凝縮·沸騰·乾燥や物質の合成·分離·吸収·付着などのプロセスに関わるため，多くの工業分野において機器の性能や効率に影響を及ぼす要因となっている．本誌の特集の対象となっている固体が液体に侵入する際の運動挙動にも大きな影響を及ぼすことが知られており，親水の物体と撥水性の物体では液体侵入後の経路に大きな差異が生じることが報告されている［1］．鉄鋼製錬のプロセスではこれに類似した現象が生じる．溶融銑鉄に脱硫剤として投入されるCaO粒子が溶融銑鉄に濡れにくいため，粒子に気泡が付着するなどして液体内に深く侵入しないのである．このため，粒子が均一に拡散しないほか，気泡の介在により固液の接触面積が減少するため，脱硫が阻害される問題が生じる［2］．