動画像の可逆予測符号化のためのパラメータ自動設定

摘要

筆者らは，動き補償とブロック適応3次元予測に基づいた動画像データの高能率可逆符号化方式を開発している．この方式では，フレーム毎に複数の3次元予測器を設計し，これらをブロック単位で切り替えることで，画像の局所的な性質に応じた適応予測を実現している．各予測器の係数やブロック単位の割り当て状況は，フレーム毎の付加情報としてビットストリームに多重化されるため，フレーム毎に用意する予測器の数や予測次数は，付加情報と予測誤差それぞれに要する符号量のトレードオフを制御する重要なパラメータとなる．従来はこれらのパラメータを固定値として与えていたが，本稿ではそれぞれの値を画像の性質に応じてフレーム毎に自動設定する手法を導入し，符号化効率の改善を図った．サイズや絵柄の異なる様々な画像を用いて符号化シミュレーションを実施した結果，本手法によって上記のパラメータが適切に設定され，付加情報を含めた符号化レートを平均で0.017 bits/pel削減できることを確認した．