光空間副搬送波多重通信及び光空間符号分割多重通信の特性解析

摘要

_近年,セキュリティや電磁障害を重要視する無線通信やビル間通信等で,光空間通信が注目されている。 光空間通信のエントランスリンクにおいても大容量化が望まれていることから,多重化が必要となっている。 レーザダイオード(LD)の入出力特性が線形である場合,光変調指数(OMI)を大きくすると,搬送波電力対雑音電力比(CNR)も大きくなる。 しかし,実際にはLDの入出力特性には非線形性が存在するため, OMIの増加につれ,多重化によって生じる干渉電力が増し,搬送波電力対干渉雑音電力比(CINR)が減少する。 また,光空間通信では,大気の変動によって光路が複雑に絡み合うことにより,受信レベルが変動する。シンチレーションと呼ばれるこの受信光強度の揺らぎは,レーザ波長,気温,気圧,送受信機間の距離によって与えられる分散を持つ対数正規分布で近似できることが知られている。 本研究では,光空間通信において,光空間副搬送波多重(AO-SCM)システムと光空間符号分割多重(AO-CDM)システムのCINR特性を, LDの非線形性とシンチレーションの影響を考慮し解析する。 解析の結果,多重チャネル数が小さいとせ, AO-CDMシステムはAO-SCMシステムに比べて優れたCINR特性を持つことを示す。 また,多重チャネル数が大きいとき, AO-SCMシステムはAO-CDMシステムに比べて優れたCINR特性を持つことを示す。