データシンボルによる雑音低減を行ったマルチキャリア変調を利用する移動体端末位置測位

摘要

近年,都市部などでは,GPS (Global Positioning System)から送信される電波の受信強度が弱い可能性が高いため,セルラーシステムを用いた移動体端末位置測位が注目されている.本論文では,セルラーシステムの下り回線を用いた移動体端末測位において,雑音低減し,測位精度を向上させる方法を提案した.提案方式では,測位で用いられるパイロットシンボルだけでなく,CRC (Cyclic Redundancy Check)により誤りがないと判定されたデータシンボルもパイロットシンボルとみなして用いることにより,雑音低減を図る.したがって,提案方式では,パイロットシンボルのみを用いる方式と比較して,仮想的にパイロットシンボル数が増加するため,電波が到来する時間を正確に測定することができ,測位精度が向上する.計算機シミュレーションにより,提案力式を特性評価し,パイロットシンボルのみを用いる方式と比較して,測位精度が向上することを示した.