複数の超音波振動を利用した溶接残留応力低減法－単一の超音波振動を利用した場合との比較

摘要

溶接部付近の表面に生じる引張残留応力は部材の疲労強度などに悪影響を及ぼす．薄板の突合せ溶接において低い振動数の入力を用いた実験を行い，振幅が大きい方が引張残留応力が低減されることを明らかにした．この方法を厚板に応用し，単一の超音波振動を加えながら溶接することによって残留応力が低減されることを確かめた．さらに残留応力を低減するためには超音波振動の振幅を大きくする必要がある．そのために，2台の超音波振動発生装置を用いて振動を大きくすることを試みた．振動数の異なる2つの超音波振動を加えることによって引張残留応力を低減する方法を提案し，単一の超音波振動を加える方法に対する優位性を明らかにした．