大気環境規制の動向と燃料多様化が規制対策に及ぼす影響: 燃料転換とブラックカーボン削減対策

摘要

地球温暖化問題に対する全球的な取り組みの必要性が叫ばれるなか，国際海事機関(International Maritime Organization, IMO)においても大気環境規制の強化が段階的に実施されてきた（Fig.1参照)．例えば，窒素酸化物(NO_x)や硫黄酸化物(SO_x)は，大気汚染物質の中でも酸性雨や光化学スモッグ，粒子状物質(PM)など，人体や陸上の生態系への影響が大きい大気汚染の要因物質である．これらの大気汚染物質については，一部の沿岸域を指定海域(Emission Control Area, ECA)として設定し，その他の海域（一般海域）に比べて厳しい規制を導入できるようになっている．