バラスト水処理装置JFE BallastAce－バラスト水処理に用いる薬剤について

摘要

貨物が少ない状態で船舶を航行させると船の重心が高くなり，波浪や風の影響を受けやすくなるため，船の安定性の確保等を目的として，一般商船ではバラストタンクにバラスト水を注水する. 荷積み港では，荷下ろし港で取水されたバラスト水に含まれる水生生物や細菌が排出され，これら外来生物が定着してしまう場合があり，外来生物による生態系の破壊，漁業被害および健康被害などが報告されている.この問題に対して2004年2月に国際海事機関（International Maritime Organization 以下 IMO)は「船舶バラスト水及び沈殿物の管制及び管理のための国際条約」を採択し，バラスト水の排水基準を制定した.この条約は2017年9月8日に発効され，バラスト水量と新造船，既存船の別に応じて順次遡及適用される.また，米国は2013年12月から独自のバラスト水に対しての規制を開始しており，米国領海内でバラスト水を排出する場合には，アメリカ沿岸警備隊（United States Coast Guard以下USCG)が定めた方法で処理性能が確認され，型式が付与された装置（または暫定的に代替処理システム）の搭載が既に義務付けられている.本稿では，弊社のバラスト水処理装置のシステム概要を紹介し，フィルター+薬剤の複合処理方式の利点を伝えるとともに，取り扱う薬剤の性質等に焦点をあてて説明する.